嗅覚VRゲームにより高齢者の認知機能が改善

東京科学大学 総合研究院 未来産業技術研究所の中本高道教授（当時）、文京学院大学 人間学部の小林剛史教授、ロンドン藝術大学のネイサン・コーヘン客員研究員、法政大学 理工学部の山本晃輔准教授らの研究チームは、嗅覚VRを用いて高齢者の認知機能を改善する手法を世界で初めて提案しました。

工学、心理学、芸術の研究者からなる学際的な研究チームにより、嗅覚VR（Virtual Reality）を用いれば、実世界での刺激を没入的に楽しみながら疑似体験できるため、より効果的な認知機能改善が期待できると考え、嗅覚刺激を体験するVRゲームを開発。

嗅覚ディスプレイによりVRゲームの中で香りを発生させ、体験者はVRゲーム内で最初に提示された香りを記憶した後、異なる3カ所の香りの発生源に移動。最初と同じ香りを特定するもの。研究では、63〜90歳の高齢者30名を対象に、6日間あけて2回このゲームを行い、1回目のゲーム前と2回目のゲーム後で認知テストを実施。“ひらがなローテーション課題”と“単語空間記憶課題”において、嗅覚ゲーム体験後のスコアが有意に向上したことが確認されました。

高齢者リハビリテーションの一環として、デジタル香りコンテンツの発展と活用が進み、認知症患者の増加といった社会課題の解決に貢献することが期待されます。

問い合わせ先／東京科学大学 総合研究院 未来産業研究所　www.first.iir.titech.ac.jp